「玉藻前(たまものまえ)」という名前を聞いたことがありますか?
これは、平安時代に実在したとされる、ものすごく美しい女性の名前です。
でも実はその正体、人間ではなかったんです。

九本のしっぽを持つ
妖怪「九尾の狐」だった
びっくりですよね。
この記事では、「玉藻前って誰?」「なぜ美しい女性のふりをしてたの?」「最後はどうなったの?」という疑問に、やさしく答えていきます。
まるでミステリードラマみたいにドキドキするような話がたくさん出てきますよ。
しかも「玉藻前」は、日本だけでなく中国やインドにも登場する、大スケールな存在なんです。
NARUTOの体内にも「九尾の狐(九喇嘛)」が封印されてましたね!
それでは、妖艶(ようえん)な姿で人間をあざむく「玉藻前」の世界へ。
あなたも狐に化かされてしまうかも!
妖怪 玉藻前(たまものまえ)とは
特徴
- とにかく美しい!誰もが見とれる完璧な美女の姿をしている
- 実は「九尾の狐(きゅうびのきつね)」という、ものすごく強い妖怪
- 人の心を読むことができ、ウソもつかせる超能力をもっている
- 皇帝や天皇のそばに仕えて、国を混乱させる存在として恐れられた
- 正体がバレると、たちまち狐の姿になって逃げてしまう
- 日本だけじゃなく、中国・インドでも似たような伝説がある
プロフィール
項目 | 内容 |
---|---|
名前 | 玉藻前(たまものまえ) |
正体 | 九尾の狐(妖怪) |
出現時代 | 平安時代 |
活動場所 | 日本、中国、インドなど |
特徴 | 美しすぎる女性に化けて人をあざむく |
能力 | 変身、人の心を読む、病を起こす |
弱点 | 正体がバレると力が弱くなる |
最期 | 那須野が原で討伐されたとされる |
玉藻前について詳しく

九尾の狐、世界をまたぐ伝説
「玉藻前」は、ただの妖怪ではありません。
彼女の正体は、「九尾の狐(きゅうびのきつね)」という、強力な妖力をもつ狐の妖怪です。
九尾の狐は、日本だけでなく、中国やインドの神話や伝説にも登場する、とても古くから信じられてきた存在です。
どの国でも共通して言われるのは、「美女に化けて人をだます」「国を混乱させる」という特徴。
つまり、どこにいてもトラブルのもとになってしまう、ちょっと怖い存在なのです。
平安時代に現れた絶世の美女
日本での「玉藻前」は、平安時代の天皇・鳥羽上皇(とばじょうこう)の時代に登場しました。
とつぜん宮中に現れた美しい女性。その美しさと知恵、礼儀正しさに誰もが夢中になってしまいました。
もちろん、天皇も彼女を大変気に入りすぐに側近にしました。
しかし、彼女が近づいてからというもの、天皇は体調をくずし重い病にかかってしまいます。
これは偶然ではありませんでした。玉藻前が妖力を使っていたのです。
陰陽師、正体を見破る
天皇の体調が悪化する中、当時の有名な陰陽師(おんみょうじ)安倍泰成(あべのやすなり)が呼ばれました。
彼はすぐに玉藻前の正体を見破ります。
そして、「この女は人ではない」と告げました。
すると、玉藻前は正体をあらわし、九本のしっぽをもった大きな狐の姿になり、姿を消してしまいました。
那須野が原での最期
玉藻前は、今の栃木県にある「那須野が原(なすのがはら)」という場所に逃げ込みます。
そこで討伐隊に追われ、ついに退治されてしまいます。
その後、狐の魂は「殺生石(せっしょうせき)」という岩に宿り、近づく者を呪うと信じられるようになりました。
2022年には、その殺生石がパカッと割れたニュースが話題になり、「玉藻前が出てくるのでは?」とドキドキした人も多かったのです。
本当にいたのか?それとも作り話?
「玉藻前」の話には、歴史上の人物や実際の場所が登場します。
でも、その正体は伝説にすぎません。実際には「朝廷に不吉なことが起きた理由を説明するために作られた存在」とも言われています。
つまり、「あんな美人が来たから国が乱れたんだ!」という言い訳だったのかもしれませんね。
このように、玉藻前の伝説は、日本だけでなく、アジア全体に広がる大きな物語となっています。
豆知識
- 「玉藻前」は、インドでは悪霊「羅刹女(らせつにょ)」として伝えられていた
- 「殺生石」は今でも那須にあり、観光名所になっている
- 明治時代には玉藻前を題材にした歌舞伎や小説が大人気だった
- 玉藻前がいたとされる宮中には、「人が急に倒れた」などの伝承が残っている
- 「九尾の狐」は中国では仙女(せんにょ)として尊敬されたり、神として祀られることもある
出現する場所
玉藻前がもっとも有名なのは、栃木県の「那須野が原(なすのがはら)」です。
ここは、玉藻前が退治された場所として知られていて、「殺生石(せっしょうせき)」という岩が今でも残っています。
この岩は、近づくと命を奪われると恐れられてきました。
また、京都の御所(ごしょ)=天皇の住む場所も、玉藻前が最初に登場した場所とされています。
京都では「玉藻前の間(たまものまえのま)」と呼ばれる部屋が残されていたという記録もあるんです。
そこでは、不思議な音や声が聞こえるという噂も…。
さらに、中国では「妲己(だっき)」という名前で登場し、殷(いん)という国を滅ぼした悪女として有名です。
インドでは「羅刹女」として、修行僧を困らせた悪霊とされていました。
つまり、玉藻前は日本にとどまらず、アジアをまたいで大騒ぎを起こしていた「世界的妖怪」なんですね。
玉藻前が教えてくれること

ある日の物語
平安の夜、月が静かに輝いている。宮中の奥深く、「玉藻前」と呼ばれる美しい女が、ひとり廊下を歩いていました。
その姿は、絵巻物から抜け出たような完璧な美しさ。だがその目には、人間のものとは違う鋭い光が宿っています。
「…また、陛下が熱を出されたとか」
廊下の隅にいた、若い女房・茜(あかね)がそうつぶやいた。彼女は玉藻前に憧れつつも、どこか恐れていた。
「ええ、夜になるととくにひどくなるそうです」
玉藻前はにっこり笑った。しかし、その笑みの奥に、狐の気配が一瞬見えた気がして、茜はゾッとした。
その夜、天皇はうなされながら夢を見ていました。夢の中で、美しい女が九本のしっぽをゆらしながら笑っています。
「陛下、あなたの命は、私の掌の中にございます」
天皇は叫び声と共に目を覚まし、すぐに陰陽師・安倍泰成を呼びました。
「この女…玉藻前には、何かある。あの笑みが…恐ろしい」
数日後、泰成はある儀式を行いました。
玉藻前が通るとき、鏡を使い、正体をうつし出そうとしたのです。
すると、鏡に映った彼女の姿は――金色の毛、九本のしっぽ、鋭い目を持つ巨大な狐でした!
「なっ……」
宮中がどよめきます。茜もその姿を見て、震えるしかありませんでした。
玉藻前は姿を変え、風のように走り去りました。人々の声も、宮中の音も、すべてを振り切って、那須野が原へと逃げていきます。
そこでは、すでに討伐隊が待っていました。
矢が放たれ、玉藻前は地面に倒れます。霧の中、最後に振り返ったその目には、ほんの少しの寂しさがありました。
「私は、ただ…人の心に触れたかったのかもしれません…」
こうして、伝説は語り継がれ、殺生石となって玉藻前の魂は封じられたのです。
伝えたかったこと
美しさにだまされるなという教訓
玉藻前の話のいちばん大きなメッセージは、「見た目にだまされるな」ということです。
玉藻前はとても美しい女性に見えましたが、その正体は人を病気にしたり、国を混乱させたりする妖怪でした。
人間の世界でも、「見た目がいいから信じてしまう」ということがありますよね。
でも、大切なのはその人の心の中。見た目にばかり気を取られると、大事なことが見えなくなるかもしれません。
不安な時代の“悪”を作り出した
平安時代の宮中は、権力争いでとても不安定でした。
そんな時、「すべての不幸は玉藻前のせいだ」とすることで、人々は少し安心できたのかもしれません。
つまり、「見えない不安」を「妖怪」という形にしたのです。
これは、人間が昔からやってきたこと。雷を「雷神」、病気を「疫病神」として描いて、目に見えないものを分かりやすくしたんですね。
現代でも通じる注意点
今の世界でも、「ネットの情報」「広告」「SNSの見栄え」など、見た目だけで判断してしまうことが多いです。
でも、じっくり調べたり、本当の気持ちを見ようとすることが大切。
玉藻前の話は、そんな現代の私たちにも「見た目にだまされないように」という警告をくれているのかもしれません。
まとめ:玉藻前(たまものまえ)の正体は九尾狐 絶世の美女にご注意を
- 玉藻前は平安時代に現れた美しすぎる女性の妖怪
- その正体は「九尾の狐」という強力な妖怪だった
- 天皇の体調不良は、玉藻前の妖力によるものだった
- 陰陽師・安倍泰成が正体を見破り、姿を現す
- 逃げた玉藻前は「那須野が原」で討伐される
- その魂は「殺生石」として、今も栃木に残っている
- 玉藻前はインド・中国でも伝説がある「世界的妖怪」
- 豆知識では、歌舞伎や観光名所とのつながりも紹介
- 玉藻前の物語からは「見た目にだまされない」教訓が学べる
- 現代にも通じる、深い意味を持つ妖怪伝説
おわりに
今回紹介した「玉藻前」は、美しさの裏に恐ろしい力を秘めた妖怪でした。
平安時代の人々は、その存在を通して「見た目にだまされるな」「国の不安はこういう者の仕業だ」といったメッセージを伝えたかったのかもしれません。
そしてそれは、今の私たちにも通じる話です。
ネットや見た目の情報だけを信じるのではなく、その裏に何があるのか、しっかりと見極める力が必要だと教えてくれます。
玉藻前の物語には、ドキドキする展開や不思議な力がたくさん登場しましたが、そこには深い意味が隠されていました。