川の近くや、山あいの静かな村で、夜になると「ザザーッ、ザザーッ」と何かを洗うような音が聞こえることがあるそうです。
しかもその音、耳をすませると小豆(あずき)を洗っているように聞こえるというのです。
いったい誰がそんなことをしているのでしょう?

それは小豆洗いという妖怪かも!
小豆洗い(あずきあらい)は、日本の昔話や伝説に登場する、ちょっと不思議で、でもどこかユーモラスな存在です。
小豆磨(あずきとぎ)と呼ばれることもあります。
『ゲゲゲの鬼太郎』では、小豆洗い、小豆はかり、小豆婆の「あずきトリオ」が、今の子たちが小豆を食べない!と嘆いていました。
怖いけれど、ちょっと笑える。
そんな魅力を持つ「小豆洗い」について、今回はくわしく紹介していきます。
この記事を読めば、「小豆洗いって、どんな妖怪?」「なんで小豆を洗うの?」という疑問もスッキリ解決!
さらに、小豆洗いが登場する伝説の場所や、知られざる豆知識もバッチリ紹介します。
妖怪 小豆洗い(あずきあらい)とは
特徴
- 夜になると、小川や井戸のそばで小豆を洗う音を立てる
- 「小豆とごしょか、ひとつぶくれ」と不思議な歌を口ずさむことがある
- 姿は小さな老人のようで、腰が曲がっていることが多い
- 特に悪さをするわけではないが、音を聞いた人を驚かせる
- 小豆を洗う理由は、実ははっきりわかっていない
- 怖がらずに近づくと、ふっと姿を消してしまうことも
プロフィール
項目 | 内容 |
---|---|
名前 | 小豆洗い(あずきあらい) |
種類 | 妖怪 |
出現場所 | 川辺、井戸、山あいの村 |
好きなもの | 小豆、静かな夜 |
特徴 | 小豆を洗う音を立てる |
性格 | 臆病で、いたずら好き |
「小豆洗い」について詳しく

小豆洗いとは、日本の各地に伝わる不思議な妖怪のひとつです。
名前の通り、小豆を洗う音を立てることで知られています。
その姿は、小さなおじいさんのようだったり、時には子どものようだったり、地域によってさまざま。
けれど共通しているのは、彼らが夜、静かに「シャカシャカ」と小豆を洗う音を立てることです。
昔の人たちは、小豆洗いの音を聞くと「不吉なことが起きる前触れだ」と考えることがありました。
一方で、「単なる山の動物が立てた音を、怖い妖怪に結びつけたのではないか」という説もあります。
たとえば、タヌキやカエルが水場で遊んでいる音が、人々には小豆を洗う音に聞こえたのかもしれませんね。
小豆は、昔から「特別な食べ物」とされていました。
お祝いごとや、おまじないに使われることもありました。
だからこそ、「小豆を洗う妖怪」というのは、ちょっと神聖な感じと、怖さが混ざった存在だったのです。
また、小豆洗いには「人を驚かせるだけで、危害を加えない」という特徴もあります。
ただし、音に引き寄せられて近づいてしまうと、滑って川に落ちたり、道に迷ったりすることもあると言われています。
そのため、昔の人たちは「夜に出歩かないように」と子どもたちを注意するために、小豆洗いの話を伝えたのでしょう。
豆知識
- 小豆洗いが歌う歌には地域差があり、「小豆とごしょか、ひとつぶくれ」以外にもバリエーションがある。
- 小豆洗いの伝説は、主に関東地方や東北地方に多く伝わっている。
- 小豆洗いは、もともとは「死者の魂を洗う役目」を持っていた、という説もある。
- 小豆の赤い色には「魔よけの力」があると信じられていたため、妖怪もそれに関係していたかもしれない。
出現する場所
小豆洗いがよく目撃されるのは、山あいの小さな村、川の近く、そして古い井戸のそばです。
特に、群馬県、長野県、福島県などの寒い地域では、小豆洗いの伝説が多く伝わっています。
これらの場所は、昼間でも静かで、夜になるととても暗くなります。
そんな場所だからこそ、小さな音でも大きく聞こえ、妖怪の存在を感じやすかったのかもしれません。
小豆洗いが教えてくれること
ある日の物語
ある静かな夜、川のそばを歩いていた少年・タケルは、「シャカシャカ、シャカシャカ」という音に気づきました。
不思議に思ったタケルは、音のする方へそっと近づいていきました。
すると、月明かりの中で、小さな老人が、せっせと小豆を洗っているのが見えたのです。
タケルはびっくりしましたが、勇気を出して声をかけました。
「おじいさん、なにしてるの?」
小豆洗いはにっこり笑い、「小豆を洗ってるんじゃよ」と答えました。
「どうして小豆を洗うの?」
タケルが聞くと、小豆洗いは静かにこう言いました。
「小豆はな、大事なものじゃ。人と人をつなぐ力があるんじゃよ。きれいにして、また誰かのもとへ運んでやらんとな。」
そう言って、またシャカシャカと音を立てながら、小豆を洗い続けました。タケルはその様子を見て、不思議な温かさを感じました。
やがて、夜が深くなり、タケルが家に帰ろうとすると、小豆洗いは「もう夜遅いから、気をつけて帰るんじゃぞ」と優しく声をかけました。
タケルは「うん、ありがとう!」と元気よく答え、家路につきました。
後ろを振り返ると、そこにはもう、小豆洗いの姿はありませんでした。
伝えたかったこと
昔の人たちは、「夜遅くに出歩くと危ない」ということを、怖い妖怪の話を通じて伝えたかったのだと思います。
暗い夜道には、川に落ちる危険や、迷子になる危険がありました。
でも、ただ「危ないからダメ」と言うだけでは、なかなか子どもたちには伝わらない。
だから、ちょっと怖くて不思議な妖怪「小豆洗い」の話をつくったのでしょう。
また、小豆の赤い色には「魔よけ」の力があると考えられていたことから、小豆洗いには「災いを防ぐ存在」としての意味もあったのかもしれません。
まとめ:小豆洗いとは?鬼太郎では小豆はかり、小豆婆と共に嘆く姿がかわいい
- 小豆洗いは日本各地に伝わる妖怪
- 夜、小川や井戸の近くで小豆を洗う
- 不思議な歌を口ずさむことがある
- いたずら好きだけど危害は加えない
- 小豆は魔よけやお祝いに使われていた
- 小豆洗いの伝説は主に関東・東北地方に多い
- 小豆洗いの出現は「夜に出歩くな」という教え
- 小豆洗いには「人と人をつなぐ力」の意味も
- 現代でも夜の危険を思い出させる存在
- 小豆洗いの話は、怖さと温かさが混ざっている
おわりに
小豆洗いは、ただの怖い妖怪ではありませんでした。
彼は、夜の静けさと危うさを教えてくれる、大切な存在だったのです。
昔の人たちは、小豆洗いの伝説を通して、子どもたちに「夜に出歩かないこと」「自然を大切にすること」「大事なものをきれいに扱うこと」など、多くのメッセージを伝えようとしました。
小豆の赤い色には「魔よけ」の意味があり、特別な行事にも使われるほど、大切な存在でした。
そんな小豆を、ていねいに洗う小豆洗いは、実はとても尊い存在なのかもしれません。
また、小豆洗いは「ちょっと怖いけれど、どこかかわいい存在」として、私たちの心に残り続けるでし