なんとも不思議な名前、「ぬっぺふほふ」。

「ぬっぺふほふ」
噛まずに言える?
口に出すとちょっと噛みそうになりますが、実はこの妖怪、とてもユニークな存在なのです。
見た目はブヨブヨ、顔はよく見えない。
でも、なんだか愛嬌がある不気味さで、人々の記憶に残り続けています。
このページでは、「ぬっぺふほふ」とはどんな妖怪なのか、なぜ昔から語られているのか、そして実は知られざる秘密まで、笑いあり、ゾクッとする話ありでご紹介!さ
あ、ぬっぺふほふの世界へ一歩、足を踏み入れてみましょう。
妖怪 ぬっぺふほふとは
特徴
- 顔がよく見えない!全身がブヨブヨの肉だんごみたい
- 静かに歩いてくるけど、意外と速いこともある
- 特に悪さはしないけど、突然現れて人を驚かせる
- 江戸時代の絵にも登場するほど昔から有名
- その体には「若返りの秘薬」があるというウワサも!
- 人間のようで人間じゃない、不思議な存在感がある
プロフィール
項目 | 内容 |
---|---|
名前 | ぬっぺふほふ |
種類 | 妖怪(人型に近い) |
出現場所 | 墓地や村外れ、人けの少ない場所 |
性格 | おとなしい、でも神出鬼没 |
特技 | 無言で近づいてくる |
特徴 | ブヨブヨの全身、顔が不明 |
別名 | ぬっぺっぽう、ぬっぺらぼう |
「ぬっぺふほふ」について詳しく

ぬっぺふほふって、どんな姿?
ぬっぺふほふの姿をひとことで言うと、「大きな人型こんにゃく」のようなものです。
全身がたるんだ肉のかたまりのようで、皮膚はだらしなく垂れており、顔の形はほとんど分かりません。
その見た目から、初めて見た人はギョッとするかもしれませんが、実は攻撃性はなく、おとなしい妖怪です。
多くの絵巻物や妖怪図鑑では、人間のような形をしていて手足もありますが、全体的に肉がだるんと垂れていて、目や口ははっきり描かれていません。
そのため、「人間っぽいけど人間じゃない」という独特な不気味さがあります。
なぜ「ぬっぺふほふ」って名前?
この不思議な名前は、日本各地で微妙に異なった呼び方をされてきたため、いろいろな音が混ざって生まれたものです。
たとえば「ぬっぺっぽう」や「ぬっぺらぼう」など、似た名前の妖怪もいます。
ぬっぺふほふという名前には、意味があるようでない、でも妙に記憶に残る力があります。
実際に昔の人たちが見た姿をそのまま口に出したのかもしれません。
「ぬっ」と出てきて、「ふほふ」と声を出す、そんなイメージから名付けられたのでは、とも言われています。
実は「若返り」の薬をもっている!?
ぬっぺふほふの皮膚には、若返りの力がある――そんなウワサもあります。
これは江戸時代の妖怪図鑑などに書かれているもので、「ぬっぺふほふの肉を使えば、どんな薬よりも若くなる」とまで言われました。
もちろん、これは伝説の話で、ぬっぺふほふを捕まえて薬を作った人の記録はありません。
でも、昔の人たちにとって「妖怪=神秘の力を持った存在」だったため、そうした信じられないような話も自然に語られたのです。
江戸時代の人たちにも知られていた!
ぬっぺふほふの存在は、江戸時代の有名な妖怪図鑑『画図百鬼夜行』にも描かれていて、当時の人々にとってもなじみのある妖怪でした。
当時の人々は、道ですれ違った正体不明の人影を、ぬっぺふほふと呼んで怖れていたようです。
江戸時代の人たちは、今のように街灯もなかったため、夜道では何が現れてもおかしくありません。そんな時代に、人のような形をしたブヨブヨの影が動けば、それはもう妖怪だ!と騒がれたのでしょう。
「ぬっぺふほふ」の豆知識
・実は「ぬっぺふほふ」の肉は、かつて医者たちにとっても“夢の薬”と考えられていたとか!
・この妖怪は、攻撃してこないけど、精神的にはじわじわ来るタイプ。怖さは「見た目」と「沈黙」で勝負!
・英語では「Faceless Blob Ghost(顔のないかたまりの幽霊)」と紹介されることもある。
出現する場所
ぬっぺふほふは、特に「人があまり通らない場所」に現れると言われています。
- 古い墓地のあたり
- 山のふもとにある小道
- 村の外れの林
- 昔の寺の裏庭
- 廃屋の近く
特に、夜になると誰も通らないような道を選んで現れると言われており、人々は「道に迷ったときには、ぬっぺふほふに出会うかもしれない」と話していました。
「ぬっぺふほふ」が教えてくれること

ある日の物語
山のふもとにある小さな村、秋も深まり紅葉が色づく季節のこと。
村の外れに住む少年・風太(ふうた)は、学校の帰り道、いつもの近道である山道を歩いていました。
「今日も宿題いっぱいだなあ…」
ぶつぶつ文句を言いながら落ち葉を踏んで歩く風太。ふと、誰かの気配を感じて足を止めました。
周囲に人の姿はなし。ただ、道の先に、何か…“かたまり”のようなものが立っているのが見えました。
「……あれ、人?」
近づいてみると、その“もの”は人のような形をしているけれど、顔が見えません。全身はだるんだるんに垂れた肉のようで、まるで巨大なこんにゃく人形です。
風太は思わず後ずさりました。
「ぬ、ぬっぺ…ふほふ……?」
すると、その“ぬっぺふほふ”と呼ばれる存在は、ゆっくりと首をかしげ、まるで「なんで名前を知ってるの?」と言いたげに体を揺らしました。
「え…しゃべらないの?」
ぬっぺふほふは、黙ったまま、静かに風太の前まで近づいてきました。
そのとき、風太はあることに気がつきました。ぬっぺふほふの体から、ほんのりとした温かさと、なぜか懐かしい匂いが漂っていたのです。
まるで、子どものころに母親が作ってくれたおかゆのような安心感…。
「もしかして、怖がらせるつもりじゃなかったんだね。」
そう言うと、ぬっぺふほふは小さくうなずいたように見えました。そして、風太の頭をそっとなでると、また音もなく林の奥へと消えていきました。
数日後、風太は風邪をひいたものの、いつもよりも回復が早く、家族に「肌つやがよくなった」と言われました。
あの日ぬっぺふほふに触れられたことで、何か特別な力が働いたのかもしれません。
それ以来、風太は山道を通るたび、ぬっぺふほふに「また会えるかな」と、心の中でつぶやくようになったのです。
「ぬっぺふほふ」を通して伝えたかったこと
昔の人は何を恐れ、何を伝えたかったのか
ぬっぺふほふのような妖怪は、「よくわからないもの」を象徴しています。
夜道で出会う、正体の見えない人影。顔のない存在。そういった「不気味だけど、何もしない」ものへの不安を、昔の人は妖怪として表現したのです。
そして、この妖怪には「静かに近づくけれど、危害は加えない」という特徴があります。
そこには、「見た目で判断してはいけない」「得体の知れないものをむやみに恐れるな」という教訓が込められていたのかもしれません。
怖いと思っていたものが、実はやさしい存在だった――そんな話こそ、人々の記憶に残り、伝説となったのです。
まとめ:ぬっぺふほふ 姿が肉塊がから覚悟してたが 意外とかわいい?
- ぬっぺふほふは、顔のないブヨブヨした肉のかたまりのような妖怪。
- 音もなく人に近づくが、基本的に無害でおとなしい。
- 江戸時代の妖怪図鑑にも登場する古くから知られた存在。
- その名前は、不思議な音の組み合わせから生まれたと考えられている。
- 若返りの効果があるという伝説がある。
- 主に人けのない場所や墓地の近くに出現する。
- 子どもや人々をじっと見つめてくるが、攻撃はしてこない。
- 精神的な怖さを持っているが、逆にやさしい存在とも言われる。
- 出会った人に不思議な影響を与えることがある。
- 見た目だけで判断してはいけないという教訓を持つ妖怪。
おわりに
ぬっぺふほふは、見た目は不気味ですが、じっくり知っていくととてもユニークで奥の深い妖怪です。
音もなく現れ、顔のない姿で人々を驚かせるぬっぺふほふは、昔の人にとって「正体の見えない不安」や「未知への恐れ」を映す鏡のような存在だったのでしょう。
でも、ただ怖いだけではないのが、妖怪の面白さです。
ぬっぺふほふには若返りの力があるという伝説や、無害な性格といった、人間とどこかつながっているような温かさもあります。
この妖怪を通して、私たちは「見た目にだまされず、物ごとの本質を見よう」というメッセージを受け取ることができます。
夜道に現れる妖怪の中にも、もしかしたらやさしい心を持つ者がいるかもしれません。