あなたは夜、気持ちよ〜く眠っていたのに、朝起きたら枕がひっくり返っていたこと、ありませんか?
「あれ?寝ぼけてたのかな?」と思うかもしれませんが、もしかしたらそれ…

妖怪枕返しのしわざかもしれませんよ!
「枕返し(まくらがえし)」は、名前のとおり、人が寝ているあいだに枕をひっくり返したり、場所を変えたりする、ちょっとイタズラ好きな妖怪です。
でも、ただのイタズラではすまないことも…。
実は「枕返し」には、眠っている人の魂を持っていってしまうという、こわ〜い一面もあるんです。
この記事では、そんな「枕返し」の正体や特徴、どこに出るのか、昔の人がどうしてこんな妖怪を考えたのかなど、たっぷり紹介していきます!
イタズラ半分、ホラー半分な「枕返し」の世界を、一緒にのぞいてみましょう。夜がちょっぴり怖くなるかもしれませんが…
安心してください。読めば読むほど、おもしろくてクセになる妖怪ですよ!
妖怪 枕返し(まくらがえし)とは
特徴
- 寝ている人の枕をひっくり返すイタズラをする
- 枕を動かすことで、眠っている人の魂を混乱させると言われている
- 見た目は子どもや小柄な姿が多く、あまりおそろしくは見えない
- すぐに姿を消してしまうので、めったにその姿は見られない
- 枕を守って眠ると来なくなるという言い伝えがある
- 出現するのは深夜、人が深い眠りに入ったころが多い
プロフィール
項目 | 内容 |
---|---|
名前 | 枕返し(まくらがえし) |
種類 | 妖怪 |
主な特徴 | 枕をひっくり返す、イタズラ好き |
出没時間 | 深夜(特に午前2時〜4時ごろ) |
出現場所 | 日本各地の古い家や旅館など |
好きなもの | 枕、眠っている人間 |
苦手なもの | 枕をしっかり抱いて寝る人 |

枕返しについて詳しく
枕返しとは?
名前のとおり、人がぐっすり眠っている間に、そっと枕をひっくり返してしまうという奇妙な行動をすることで知られています。
そのため、「朝起きたら枕が逆さまだった!」というときは、もしかするとこの妖怪のしわざかもしれません。
ただし、枕返しのイタズラはそれだけでは終わらないこともあります。
昔の人たちは、「枕を動かされると、魂が体に戻れなくなる」と信じていました。
つまり、枕返しのイタズラには命にかかわる危険があると考えられていたのです。
どんな姿をしているの?
一番多いのは、小さな子どもや、小柄なおじいさん、おばあさんのような姿で現れるというものです。
あまりおそろしい見た目ではなく、むしろかわいらしい姿をしていることもあります。
しかし、見た目にだまされてはいけません。静かにやってきて、知らない間にイタズラをしてくるのです。
どうして枕を返すの?
では、なぜ枕をひっくり返すのでしょうか?
それは、昔の日本では「人の魂は眠っているとき、枕のあたりから体の外に出ている」と信じられていたからです。
枕を動かすことで、その魂が迷子になってしまい、体に戻れなくなるかもしれない。
それをわざとやって楽しんでいる、というのが枕返しのイタズラの意味なのです。
枕返しを防ぐには?
昔の人たちは、いくつかのおまじないや工夫をしていました。
たとえば、
- 枕の下にお守りを入れて寝る
- 枕に名前を書いた布をかける
- 枕をしっかり抱いて寝る
などがありました。とくに「枕を抱いて寝る」というのは、今でも安心して眠れる方法として人気がありますね。
妖怪でなくても、安眠には良さそうです。
豆知識
- 「枕返し」は、実は旅館や古い民家に多く現れると言われています。昔ながらの布団文化と関係があるようです。
- 江戸時代の書物『諸国百物語』にも、枕返しの話が登場しています。
- 枕返しにあった次の日は「悪夢を見る」だけでなく、「寝違える」こともあると信じられていました。
- 名前の「返し」は「仕返し」の意味もあると言われ、なにか怒らせるとやってくるとも考えられていました。
- 枕返しが来た日は、何かの「前ぶれ」だとされ、注意を呼びかけるサインと考える地域もありました。
出現する場所
もっともよく語られているのは、「古い木造の家」や「昔ながらの旅館」「田舎の古民家」などです。
木のきしむ音や風の音など、ちょっと不気味な雰囲気の場所に出ることが多いのです。
また、東北地方や北陸地方など、寒さが厳しい地域では、夜中に目を覚ますことが多く、そうした中で「枕がずれていた!」という体験談がたくさん語られてきました。
あるいは、神社の近くの民家や、昔から「霊が出る」と言われている場所に住んでいる人の話にも、「夜中に枕が返された」という話がよく出てきます。
このように、枕返しは「眠りの油断をねらう妖怪」とも言えるかもしれません。
枕返しが教えてくれること

ある日の物語
ある晩のこと。夏休みを利用して、おばあちゃんの住む古い民家に遊びに来た小学六年生のユウタは、一日中虫とりをしてつかれ切っていた。
夜も更け、ふとんに入ると、すぐにウトウトしはじめた。
古い家のふとんは少しゴワゴワしていたけれど、ユウタはぐっすり眠りについた。
…が、夜中の2時。ユウタはなんだか変な感覚で目を覚ました。
「ん?なんか、枕の向きがちがう…?」
寝ぼけまなこでまわりを見るけれど、だれもいない。ただ、風もないのに障子がカタカタと鳴った。
「…気のせいかな」
もう一度ふとんに潜りこもうとした、そのとき。
「ふふふ…よく眠れたかの?」
ユウタは飛び起きた。枕元に、小さなおじいさんのような姿の何かが座っていたのだ。
頭ははげて、眉毛は長く、でも、笑った顔はまるでいたずらっ子のよう。
「だ、だれ!?」
「わしは『枕返し』じゃ。おぬしの眠り、ちょいといたずらしにきたのじゃよ」
ユウタはふとんをかぶってガタガタ震えた。
「だ、大事な枕なんだ…さわらないでよ!」
すると、枕返しはちょっと驚いた顔をして、ニッコリ笑った。
「おお、それはすばらしい。大事にされとる枕には、わしも手が出せん」
そう言うと、枕返しはスッと消えてしまった。
次の朝、ユウタが目を覚ますと、枕はちゃんと頭の下にあった。そして、ふとんの端っこに、小さな白い紙が一枚落ちていた。
そこには、墨でこう書かれていた。
「眠りをたいせつにする者には、幸せが来るぞ。―枕返し」
その日からユウタは、毎晩「おやすみ、枕さん」と言ってから眠るようになったという。
伝えたかったこと
眠りは大切な時間
昔の人たちは、眠りを「魂を休ませる神聖な時間」だと考えていました。
だからこそ、寝ている間に起こることには敏感だったのです。
「枕返し」は、油断せず、心を落ち着けて眠ることの大切さを教えてくれる存在だったのかもしれません。
枕と魂のつながり
「眠ると魂が枕の上に浮かぶ」という信仰があり、枕を動かすと魂が帰れなくなるとも信じられていました。
枕返しのイタズラは、ただのおふざけではなく、「魂の居場所を守ろう」という教えだったのでしょう。
今の生活にも通じる話
現代では、スマホを見ながら寝たり、寝不足になったりすることが多いですよね。
そんなとき、「枕返し」の話を思い出すと、眠りを見直すきっかけになるかもしれません。
まとめ:枕返し(まくらがえし)が語る夜のこわくて大切な話 枕の下には…
- 枕返しは、夜中に枕をひっくり返す妖怪
- 寝ている人の魂に影響を与えると言われている
- 姿は小さな子どもやおじいさんのように見えることが多い
- 枕を大切にして寝ると、妖怪から守られるという言い伝えがある
- 古い家や旅館などに多く現れるとされる
- 江戸時代の書物にも登場する、歴史ある妖怪
- 枕の下にお守りを入れることで防げるとも言われている
- 眠りの大切さを教えてくれる妖怪でもある
- 現代の生活にも通じる、リズムの大切さを伝えている
- 妖怪を通して、昔の人の知恵や心を知ることができる
おわりに
今回は「枕返し」という妖怪について、たっぷり紹介しました。
夜中に枕を動かしてしまうというイタズラから始まり、魂に関わる不思議な力まで、ただの怖い話では終わらない奥深さがありましたね。
この妖怪を通して、昔の人たちが「眠りの大切さ」や「日々の生活を整えること」の重要さを伝えようとしていたことがわかります。
現代でも、ついつい寝不足になったり、スマホをいじりながら寝てしまったりと、眠りをおろそかにしてしまうことがありますが、「枕返し」の話を思い出せば、きっと少しは自分の生活を見直せるかもしれません。