「油すまし」って何をする妖怪?
名前だけ聞くと

「え?油?」「すましてる?」
意味が分からない?ですよね。
この「油すまし」、昔から日本のある地方に伝わるとても不思議な妖怪なんです。
見た目は、おじいさんみたいな顔をしていて、体はぬらぬらと油で光っているとか…!
森や山の中にひっそりと住んでいて、人間にいたずらをすることもあれば、そっと見守ってくれる存在とも言われています。
「ゲゲゲの鬼太郎」では、知恵のある将棋好きなおじいさんで人気のキャラクターですね。
この記事では、そんな「油すまし」の特徴や、どんなふうに伝えられてきたのかを、わかりやすく紹介していきます。
さらに、油すましにまつわる面白い豆知識や、出現する場所、ある日の物語まで盛りだくさん。
読めばきっと「油すまし」に会ってみたくなるはずですよ!
妖怪 油すましとは
特徴
- おじいさんのような顔をしている
- 体がぬらぬらと油で光っている
- 木の杖を持っていることが多い
- 森や山の中に住んでいる
- 夜にひっそりと現れる
- 人間に悪さをするより、静かに見守る存在
プロフィール
項目 | 内容 |
---|---|
名前 | 油すまし |
住んでいる場所 | 熊本県・天草地方の山や森 |
特徴 | おじいさんの顔、油でぬらぬらの体、杖を持っている |
性格 | 静かでおだやか、少しいたずら好き |
よくすること | 山道を歩いている人に声をかける |
好きなもの | 自然、油のぬるぬる感 |
「油すまし」について詳しく

油すましは、日本の熊本県、特に天草地方に伝わる妖怪です。
その姿はとてもユニークで、年老いたおじいさんのような顔をしていて、体全体が油をかぶったかのようにぬらぬらと光っています。
そして、よく木の杖を手に持ち、山道を静かに歩いているといわれています。
油すましの「すまし」は、天草地元の方言で「しぼる」という意味。
「油すまし」=「油を搾るもの」「油を取っていた者」なんですね。
「油すまし」という名前の由来には、いくつかの説があります。
一番有名なのは、「寺のお堂にある油(灯明用の油)を盗んで使ってしまった罪人が、死後、油すましになった」という話です。
昔の人たちは、油をとても大切にしていました。
灯りをともすための貴重な資源だったので、油を無駄にすることは大罪だったのです。
そんな大切な油を盗んでしまった人は、死後、罰として「油すまし」という妖怪になり、山の中をさまよう運命にあると伝えられているのです。
しかし、油すましは決して「怖いだけの存在」ではありません。
いたずらをすることもありますが、基本的には人間に大きな害を与えることはないとされています。
むしろ、森や自然を荒らす者に対して怒ったり、道に迷った旅人にこっそりヒントを与えたり、守り神のような役目を果たしているとも言われています。
天草地方では、今でも「油すまし」をモチーフにした石像が作られ、道ばたに置かれています。
それは、「悪いことをしないように」「自然を大切にしよう」という昔からの教えを伝えるためのものでもあるのです。
豆知識
- 「油すまし」そっくりの石像が天草地方にたくさんあります。
- 「油すまし」は時には人間に話しかけ、「どこへ行くんだ?」と聞くこともあるとか。
- 日本中の妖怪の中でも「油」にちなんだ名前は珍しいです。
- 「油すまし」の油は、ぬるぬるしていてもベタベタしないという不思議な性質があると言われています。
出現する場所
油すましが主に出現するのは、熊本県天草地方の山道や森の中です。
特に夜、しんと静まりかえった山道を歩いていると、ふと背後から足音が聞こえたり、ぬらぬらと光るものが見えたりすることがあるそうです。
天草地方は、昔から自然豊かな土地で、山や海に囲まれた場所なので、妖怪伝説が多く残っている地域です。
油すましが教えてくれること

ある日の物語
ある静かな夜、山道を一人で歩いていた少年タケル。彼は友達と遊びすぎて、家へ帰るのが遅くなってしまったのです。
月明かりの下、ひたすら歩くタケルの耳に、コツ…コツ…と何かが地面を叩く音が聞こえてきました。
「誰だろう?」タケルは立ち止まりました。
そこに現れたのは、ぬらぬらと光る体に、杖をついた小さなおじいさん。
タケルはびっくりしましたが、そのおじいさんはにっこり笑ってこう言いました。
「どこへ行くんだい?」
タケルは正直に答えました。「家に帰るところです。」
すると油すましは、「道に迷わないようにな」と、やさしく教えてくれました。
タケルが礼を言うと、油すましはふっと消えてしまいました。
不思議な体験に、タケルは「きっと、あれが油すましだったんだ」と心に刻んだのでした。
伝えたかったこと
油すましという妖怪には、大切な教えが込められています。
それは、「自然や大切なものを粗末にしてはいけない」ということです。
油は昔、とても貴重なものでした。今では簡単に手に入りますが、昔の人たちは一滴の油も無駄にしないように、大事にしていました。
油を盗んでしまった人が妖怪になるという話には、「欲に目がくらんではいけない」「他人のものを盗んではいけない」という戒めが込められています。
また、油すましが森を守る存在として伝えられていることから、「自然を大切にする心」も教えられています。
森や山は、人間にとって大切な資源です。
でも、欲張って切り倒したり汚したりすれば、自然は壊れてしまいます。
昔の人たちは、そんな大切な自然を守るために、油すましの伝説を語りついできたのです。
これは現代にも通じる大事な教えです。
今の私たちも、自然を守り、欲張りすぎないことを忘れないようにしたいですね。
まとめ:油すましは何をする?熊本天草のぬるぬるおじいさんの正体
- 油すましは熊本県・天草地方の妖怪
- おじいさんの顔で体は油でぬるぬる
- 木の杖を持って現れる
- 灯明の油を盗んだ罪人が妖怪になった説がある
- 人間に害を与えず、見守る存在
- 天草地方には油すましの石像がある
- 山道で夜に出会うことが多い
- 油すましは自然を守る守り神でもある
- 油すましの物語には教訓がたくさん
- 今も自然を大切にしようというメッセージが込められている
おわりに
油すましという妖怪には、昔の人たちの大切な教えがたくさん詰まっています。
一見、ぬらぬら光る体を持つ不思議なおじいさん妖怪ですが、その姿の裏には、「自然を大切にすること」「他人のものを盗まないこと」「欲張りすぎないこと」といった、今でも大切な教訓が隠されています。
油すましが住んでいるとされる天草地方では、今でも油すましの伝説が残り、石像となって地域の人々に親しまれています。
妖怪は、ただ怖がるものではありません。人間にとって本当に大切なことを、楽しいお話やちょっと怖い伝説の形で伝えてくれる存在なのです。
私たちも、油すましのように自然を大切にし、まわりのものに感謝しながら生きていきたいですね。