二口女 見た目はかわいいけど後ろの髪をかき上げると別人格が!
もしも、あなたのうしろの髪の中に、もう一つの口があったら……?
しかもその口、夜中になると勝手にしゃべったり、ご飯をねだったりするんです。
今回は、そんなゾッとするけど、ちょっぴりコミカルな妖怪「二口女(ふたくちおんな)」について紹介します。
昔から伝わるこわ~い話の中にも、「あれ、ちょっと面白いかも?」と思えるポイントがあるんですよ。
この記事では、二口女の特徴や正体、どこに出るのか、そして彼女が登場する物語まで、まるっと紹介していきます!
妖怪 二口女(ふたくちおんな)とは
特徴
- 頭のうしろにもう一つの「口」がある女性の妖怪です。
- 後頭部の口は勝手にしゃべったり、ごはんを食べたがります。
- おとなしくしていれば普通の人間に見えます。
- 二つ目の口の声は本人には止められず、口調も荒いことが多いです。
- 食欲がとても強く、人間一人分以上を食べることも。
- 生まれつきではなく、呪いや事故でそうなるケースが多いです。
プロフィール
項目 | 内容 |
---|---|
名前 | 二口女(ふたくちおんな) |
種類 | 妖怪 |
特徴 | 後頭部にもう一つの口がある女性 |
出現地 | 日本各地(特に江戸や東北地方) |
性格 | 表向きは静かだが、もう一つの口はわがまま |
好物 | 白ごはん、肉、時には人間!? |
二口女について詳しく

ふつうの見た目だけど、ふつうじゃない!
二口女は、見た目はふつうの美しい女性です。
髪の毛も長くて、ぱっと見はまったく妖怪には見えません。
でも、よく見るといつも髪をたらしていて、うしろ姿を見せたがらない…
それには大きな理由があるのです。実はその髪の下には、もうひとつの口がかくされているのです。
うしろの口が大暴れ!
この口はただの飾りではありません。
とてもお腹がすくらしく、「もっと食べさせろ!」とか「おい、なにボーッとしてんだ!」なんて、しゃべることもあります。
夜中になると勝手に動き出して、家にある食べ物を全部食べちゃうことも。人格が違うんですね。
どうしてそんな体になったの?(説ー1)
二口になった理由として、いくつかの説があります。
この妖怪は、もともとふつうの人間だったと言われています。
ある日、家で働いていた女性が、ごはんをちゃんと食べさせてもらえなかったり、大切にされなかったりしたことで、うらみがたまり、それが妖怪になってあらわれたのです。
口が二つあるというのは、そのうらみやストレスが形になったとも言われています。
家族を守るための「もうひとつの口」?(説ー2)
こわい話が多い二口女ですが、じつは「家族を守るために妖怪になった」という伝説もあります。
大切な人を養うために、もう一つの口を持ち、2倍の力で働いたとか。
見た目はおそろしいですが、その背景には深い物語がかくれているのかもしれません。
現代にあらわれるとしたら?
もし二口女が現代にあらわれたら? きっと長い髪でうしろの口をかくしながら、カフェでケーキを二つ注文しているかも? こっそりSNSをして、うしろの口でコメントを打っている……
なんて想像すると、ちょっとこわい。
豆知識
- 江戸時代の浮世絵にも、二口女の姿が描かれていることがあります。
- 一説には「口うるさい妻」の比喩から生まれたという話もあります。
- 「食いしんぼうへの戒め」として語られることも。
- 二口女の口は「自分の心の声」だという解釈もあるんです。
- アニメやゲームにも登場する人気妖怪の一つです!
出現する場所
二口女の伝説は、日本各地で見つかりますが、特に江戸時代の町中や、東北地方の農村などに多く残っています。
江戸では、お屋敷で働く女中が二口女になったという話があり、夜な夜な台所のごはんが減る原因を調べたら、後頭部の口が勝手に食べていた…
なんて話が残っています。ま
た、山奥の村では、飢饉の中でうらみをもった女性が変化したといわれる伝説もあります。
二口女が教えてくれること

ある日の物語
ある日の夕暮れ時、静かな村の小道を一人の若い旅人が歩いていました。
名前は陸(りく)。絵を描くのが好きで、各地の珍しい風景や人々を絵におさめながら旅をしていました。
その日は山あいの村に宿を求めてやってきました。
村の入り口にある大きな屋敷の前で、美しい女性が立っているのを見つけました。
艶やかな黒髪をたらし、もの静かなその女性は、少し微笑んで陸に声をかけました。
「旅のお方、お困りでしたら、この屋敷にお泊まりくださいませ」
それが、二口女でした。
不思議な夜の始まり
その夜、屋敷に通された陸は、出された夕飯の量に驚きました。
お茶碗山盛りのごはん、焼き魚に煮物、汁物、さらにもう一杯のごはんとおかず。
「まるで二人分だな」と思いつつも、彼は全部いただきました。
夜も更け、部屋に戻って眠ろうとしたとき、となりの部屋からゴソゴソと物音が聞こえてきました。
ふと障子のすき間からのぞいてみると、あの女性が鏡の前に立ち、髪をかきあげている姿が見えました。
そして、陸は見てしまったのです。彼女のうしろの頭に、もう一つの「口」があったことを。
「おい、もっと食わせろ!昼間は足りなかったぞ!」
背中の口ががなりたて、女性がため息をつきながら台所に向かっていくのを、陸は息をのんで見守っていました。
本当の姿とやさしさ
翌朝、陸は逃げるどころか、女性に話しかけました。
「昨日、見てしまいました。でも、あなたは何も悪くないと思います」
女性は驚きながらも、静かに語り始めました。
「私は昔、この屋敷で女中をしていました。でも、働きすぎて倒れたある日、ごはんを一口もらえずに死にかけたのです。
その恨みがこの“もう一つの口”になったのです。でも、この屋敷を出ることもできず、今でもここで人をもてなし、食べ物を用意することで心を保っているのです」
陸はうなずき、彼女の姿をスケッチに描きました。
妖怪の姿ではなく、やさしさと悲しさがまざった、美しい一人の女性として。
「また、あなたに会いに来ます。そして、その口にも、美味しいものを届けに」
それからというもの、陸は旅の途中で作った干し肉やお菓子を持って、その屋敷に訪れるようになったと言います。
伝えたかったこと
恐れと同時に「気づき」をくれる妖怪
二口女という存在を通じて、昔の人たちは何を伝えたかったのでしょうか。
考えてみるとちょっと難しいですね。
たとえば、働く人への思いやり、食事の大切さ、そして「見た目では分からない人の苦しみ」などが考えられます。
二つ目の口は、声に出せない心の叫びなのかもしれません。
こわい話として伝わる一方で、「人を思いやることの大切さ」を、妖怪の姿を借りて教えていたのかもしれませんね。
まとめ:二口女 見た目はかわいいけど後ろの髪をかき上げると別人格が!
- 二口女は、後頭部にもう一つ口をもつ女性の妖怪です。
- ふつうの人間のように見えるが、夜にもう一つの口が活動します。
- 二つ目の口はお腹がすいて勝手に食べ物をねだる性質です。
- 元々は人間だったという説が多く、恨みや悲しみが原因です。
- 江戸時代などに多く語られ、東北地方にも伝承があります。
- 口の存在は「心の叫び」や「思いやりの大切さ」の象徴とも言えます。
- 江戸の浮世絵にも描かれるなど、昔から知られている妖怪です。
- 食いしんぼうや無視された人の感情を表したものとも考えられます。
- 現代にも登場しそうなユニークな設定が親しまれています。
- ストーリーでは、人のやさしさと理解によって救われる姿が描かれました。
おわりに
今回は、ちょっとこわくて、でもどこか哀しさも感じる妖怪「二口女」について紹介しました。
彼女は見た目ではわからない深い思いを持つ存在で、その背中の口は、言えなかった本音や、押し込めた気持ちの象徴だったのかもしれません。
昔の人たちは、妖怪の姿を使って、「人を思いやること」「ごはんのありがたみ」「声をかける大切さ」など、大事なことを伝えようとしていたのですね。
ストーリーでは、旅人の陸がその姿に驚きながらも、理解とやさしさで二口女と向き合いました。
こわいだけではなく、妖怪たちはいつも、何かを教えてくれる存在です。
あなたも日々の中で、ちょっとした「心の声」を聞き逃さないようにしてみてくださいね。
もしかしたら、その声が、誰かの支えになるかもしれません。