ある日、夕ご飯の支度でバタバタしていると、見知らぬおじいさんが台所に?。
誰も呼んでいないのに、まるで家族のような顔をしているこの人物。
それが「ぬらりひょん」だと言われています。
ぬらりひょんは、数ある妖怪の中でも、特にミステリアスな存在です。
なぜなら、戦ったり脅かしたりすることもなく、ただ「ぬるっと」入り込んでくるだけ。
でも、放っておくと、どんどん家を乗っ取られてしまうかも…!?
ぬらりひょんは「ゲゲゲの鬼太郎」にはもちろんのこと、漫画「ぬらりひょんの孫」「ぬらりひょんの棲む家」などにも登場する”超有名な妖怪”ですよね。
このぬらりひょんは「妖怪たちの総大将・ボス」だと知ってましたか?
この記事では、ぬらりひょんの特徴や、どこに現れるのか、どんな物語があるのか、そして昔の人たちがどんな思いでこの妖怪を語ったのかを、楽しく紹介していきます!
妖怪 「ぬらりひょん」とは
特徴
- 人間のおじいさんのような姿をしている
- 他人の家に勝手に入り込む
- 家の中でえらそうにふるまう
- つかみどころがなく、すぐに消えてしまう
- 何事もなかったかのように自然に振る舞う
- 「妖怪たちの総大将」とも呼ばれることがある
プロフィール
項目 | 内容 |
---|---|
名前 | ぬらりひょん |
種類 | 妖怪 |
性別 | 男性っぽい |
特徴 | 人間のおじいさんに似ている |
性格 | のらりくらり、マイペース |
主な出没場所 | 家の中、港町 |
「ぬらりひょん」について詳しく

ぬらりひょんは、古くから日本に伝わる妖怪です。
姿は、まるで人間のおじいさん。着物を着て頭は大きく、どこかふにゃっとした雰囲気を持っています。
その名前の「ぬらり」は、「ぬるっと現れる」という意味からきていると言われています。
特徴的なのは「他人の家に勝手に上がりこむ」という行動です。
しかも、悪気があるわけではなく、まるで家族かのように振る舞うのです。
忙しい時間帯、特に夕方にやってきて、誰も気づかないうちに居間に座り、まるで主人のようにお茶を飲んでいることも…。
この「自然すぎる存在感」のため、家の人たちも最初は「誰かの親戚かな?」と思ってしまい、追い出すことができません。
気づいたころには、もうぬらりひょんは姿を消していて、「あれは一体誰だったんだ?」と後になって不思議がるのです。
また、ぬらりひょんには「妖怪たちの総大将」という説もあります。
たくさんの妖怪たちをまとめるリーダー格の存在ともされ、実はただの「不思議なおじいさん」ではないのかもしれません。
この説は、水木しげる先生の『ゲゲゲの鬼太郎』などでも有名になりました。
ぬらりひょんは、人に危害を加えることはありません。
しかし、勝手に家に入られるというのは、やっぱり不気味です。
だからこそ、昔の人たちは「油断してはいけない」「家の戸締りはしっかりしよう」という教えを、この妖怪に託したのかもしれません。
豆知識
- 港町などで、ふらっと現れるという伝承が多い
- 名前の由来には、「ぬらりと逃げる」から来た説もある
- 昔の絵巻物には、ぬらりひょんらしき妖怪がたくさん描かれている
- ぬらりひょんは妖怪の中でもかなり「偉い」存在とされる
- 「ぬらりくらり」という日本語表現にも影響を与えたという説がある
出現する場所
ぬらりひょんは、主に港町や人がにぎわう住宅地に出没すると言われています。
特に、夕方から夜にかけて、忙しくしている家庭にひょっこり現れるのです。
また、古い町並みや古民家の多い場所では、今でも「ぬらりひょんが来たかも」という噂が立つこともあるんだとか!
江戸時代の資料にも、「港でふらふらしている不思議な老人」が描かれていて、それがぬらりひょんの原型ではないかと考えられています。
「ぬらりひょん」が教えてくれること

ある日の物語
ある夕暮れ時のこと。
商人の町、備後の国(今の広島あたり)に、にぎやかな家がありました。
その家では、今日も夕ご飯の支度で大忙し。台所では、おかみさんが煮物を作り、子どもたちは玄関で遊んでいます。
そんな中、誰にも気づかれず、ぬるり…と一人の老人が家に入ってきました。
白髪まじりの髪、どこかふにゃっとした笑顔、そして立派な着物。
そう、これが「ぬらりひょん」です。
「おやおや、いいにおいじゃのう。」
ぬらりひょんは、まるで昔からの家族のように、勝手に台所に座り込みました。
おかみさんも、忙しさのあまり「誰かの親戚かな?」としか思わず、お茶を淹れてしまいます。
そこへ、帰ってきた主人の源蔵さんが顔をしかめました。
「おや、あなた様はどなたで?」
ぬらりひょんはにこにこと笑い、ひとこと。
「ぬらりと来た者じゃ。」
その一言に、源蔵さんもおかみさんもぽかん。
しかし、ぬらりひょんはまったく気にせず、ご飯の席に着きました。
子どもたちも、なんだかこのおじいさんが面白くて、話しかけます。
「おじいちゃん、どこから来たの?」
「ほれ、波の向こうから、ふわふわとな。」
ぬらりひょんは、不思議な話をたくさんしてくれました。
海の底には魚の町があること、夜空には狐の行列が歩いていること…。
子どもたちは目を輝かせて聞き入ります。
やがて夜も更け、気がつくと、ぬらりひょんはどこにもいませんでした。
残されていたのは、湯呑み茶碗と、ほのかに潮の香り。
源蔵さんたちは、ぽつりとつぶやきました。
「今夜は、不思議な晩じゃったのう。」
こうして、またひとつ、ぬらりひょんの伝説が町に生まれたのでした。
伝えたかったこと
ぬらりひょんの伝説は、一見ただの「変な迷い人」の話に思えます。
でも、実はそこには深い意味が込められていました。
昔の人々は、家というものをとても大切にしていました。
家は、家族を守る場所であり、幸せを育む場所です。
そんな大切な場所に、知らない人がずかずかと入ってきたら、どうなるでしょう?
家の秩序が乱れ、家族の絆も危うくなってしまいます。
ぬらりひょんは、そんな「油断」を警告する存在だったのです。
・忙しさにかまけて、見知らぬ人を警戒しないこと
・家族の中で、ちゃんと互いに声をかけあうこと
・小さな違和感を見逃さないこと
こうしたことを、ぬらりひょんの話はやさしく、でもしっかりと伝えようとしています。
しかも、ただ怖がらせるのではなく、「ちょっとおかしな、おもしろい存在」として描くことで、子どもたちにも親しみやすくしているのです。
さらに、「ぬるっと現れる」ぬらりひょんは、社会の中にある「曖昧なもの」「正体のよくわからないもの」を象徴しているとも言われます。
たとえば、人のうわさ、あやふやな情報、はっきりしない不安…。
そういうものに、なんとなく飲み込まれないように気をつけよう、という教訓にもなっているのです。
現代でも、情報があふれている世界で、ぬらりひょんのように「気づいたらそこにいた」という存在は、身近にいるかもしれません。
まとめ:ぬらりひょん 知らぬ間に居間にいる老人 今は孫の方が有名に?
- ぬらりひょんは人間のおじいさんのような姿をしている妖怪
- 夕方の忙しい時間に、他人の家に勝手に入る
- まるで家の主人のようにふるまう
- 実は「妖怪たちの総大将」とも言われる存在
- ぬらりひょんは人に危害を加えない
- 「油断するな」「戸締りをしっかり」という教えが込められている
- 港町や住宅地に現れることが多い
- 昔の絵巻にもぬらりひょんのような妖怪が登場している
- 「ぬらりくらり」という言葉もぬらりひょん由来かも?
- 現代でも「あいまいなものに気をつけろ」というメッセージを伝えている
おわりに
ぬらりひょん――なんともつかみどころのない、不思議な妖怪。
けれど、その存在には、昔の人たちの知恵や思いやりがたくさんつまっていました。
忙しいときこそ、油断しがち。
そんなときにぬらりひょんのような「得体の知れない存在」が、ふと入り込んでくるかもしれません。
だからこそ、毎日の生活の中で、「あれ?」「おかしいな」と感じたら、しっかり立ち止まって確かめることが大切なのです。
また、ぬらりひょんは決して悪意のある存在ではありませんでした。
それどころか、どこか憎めない不思議な魅力を持っています。
こうした柔らかい表現で、昔の人たちは、子どもたちに「ただ怖がるのではなく、考える力を持とう」と教えようとしたのでしょう。
現代も、情報が多すぎたり忙しさに追われたりして、周りが見えなくなることがたくさんあります。
そんなときは、ぬらりひょんの物語を思い出してみてください。
ぬるりと現れる存在を前にしても、慌てず、きちんと目を開き自分の心と向き合う。
それが、昔も今も変わらない「賢く生きる」ためのヒントなのかもしれません。