山奥のくら~い洞窟に入ると、なにやら背筋がゾクッとする……。そんな経験、ありませんか?

それは「覚(さとり)」という妖怪かも!
「覚」は人間の心を読むことができるという、とっても不思議な妖怪なんです。
あなたが「怖い!」と思った瞬間に、「こわいと思ってるんだね~」とニヤリと笑うとか。
そんなの、ちょっとズルい!でも、なんだか気になる存在でもありますね。
この記事では、「覚(さとり)」っていったい何者なのか、その特徴やプロフィール、どんな場所に出てくるのか。
さらにはちょっぴり怖くて面白い物語まで、ぜーんぶ紹介していきます!
そして昔の人たちは、こんな妖怪を通じて何を伝えたかったのか? そんなことも、いっしょに考えてみましょう。
妖怪ウォッチの三つ目読心術。人気キャラ「さとりちゃん」は可愛いけど・・リアルとのギャップが・・
妖怪「覚(さとり)」とは
特徴
- 人の心を読める力を持っている。何を考えているかバレバレ!
- 山や洞窟に住んでいることが多い。特に鳥取や島根などの山中で伝説がある。
- 姿はサルや人間に似ているけれど、胸にもう一つの「目」があるともいわれている。
- 人間を襲わないが、びっくりさせて楽しんでいる節がある。
- 目を合わせないと心は読めないという話もある。
- 一度心を読まれると、慣れて逆に怖くなくなるというウワサも
プロフィール
項目 | 内容 |
---|---|
名前 | 覚(さとり) |
種類 | 妖怪 |
特徴 | 人の心を読む能力、山に住む、サルのような姿 |
出現地 | 山奥の洞窟、特に中国地方など |
性格 | いたずら好き、好奇心旺盛だが悪意は少ない |
好きなこと | 人間の心を読むこと、驚かせること |
苦手なこと | 無心な人間、目を合わせない相手 |
覚(さとり)について詳しく

心を読む妖怪、覚(さとり)
「覚(さとり)」という妖怪は、日本の昔話や民間伝承の中に登場する、とてもユニークでちょっと不気味な存在です。
その最大の特徴は「人の心を読むことができる」という能力です。
もしあなたが「おなかすいたなぁ」と思った瞬間、どこからともなく「おなかすいたねぇ」と声が聞こえてきたら……それが「覚」の仕業かもしれません!
人が近づかない山奥に潜む
この妖怪は、主に山奥や洞窟など、あまり人が近づかないような場所にひっそりと住んでいるとされています。
特に鳥取県や島根県など、日本海側の山間部に伝説が多く残っています。
ひと気のない山道で誰かに見られているような気がしたら、それは覚が近くにいるサインかも?
サルに似た姿と「胸の目」
姿についての話も面白いです。ある伝説では、覚はサルに似た姿をしていて、人間よりもちょっと小柄。
でも、胸のあたりにもうひとつの「目」がついていて、その目で人の心をのぞくといわれています。
普通の目で見るのではなく、心の奥を見つめる、そんな感じです。
人間を襲わず、驚かせるのが好き
覚は、基本的には人間を襲うことはありません。
ですが、心を読んで人間をびっくりさせるのが大好き。
たとえば、旅人が「怖いなぁ…」と思ったその瞬間に、「怖いと思ってるんでしょ」と言って笑ったりします。
そんなことされたら、ますます怖くなってしまいますよね。
でも、ずっと覚と一緒にいると、そのうち「また心を読まれた!」と慣れてしまって、怖さが消えていくという話もあります。ちょっと変わった妖怪ですね。
心を無にすれば読まれない?
また、覚には「心を無にしていれば、読まれない」という言い伝えもあります。
何も考えないようにすることで、覚の力を無効にできるのです。
でも、それってかなり難しいですよね。頭の中をまっしろにするなんて、まるで修行のようです。
昔の人が感じた「心の不安」の象徴
そして、昔の人々はこの妖怪を通して「自分の心の中を見られることの怖さ」や「油断してはいけない山の恐ろしさ」などを表現していたのかもしれません。
覚という存在は、自然の中での見えない不安や緊張を、目に見える形にしたものだったのでしょう。
豆知識
- 覚の語源は「悟る」「察する」から来ているとされる。「さとる=察知する」という意味。
- 心を読まれて驚いた人間が気絶するという伝説もある。
- 覚に「わざと変なことを考える」と混乱させられるという噂もある。
- 江戸時代の書物『画図百鬼夜行』にも登場している。
- 「覚」は実は人間の進化形という説も!? 山で修行した者が妖怪化したという伝承も存在。
出現する場所
覚(さとり)は、山の中や洞窟といった、ひとけの少ない場所に住んでいるといわれています。
特に有名なのは、中国地方、つまり鳥取県や島根県などの山間部です。
こうした場所は、昔から「神秘的」な力があるとされ、人を寄せつけない空間として知られてきました。
たとえば、鳥取県の大山(だいせん)や、島根県の隠岐(おき)の山々には、覚のような「人外の存在」が潜んでいるという話がいくつも伝わっています。
また、洞窟という閉ざされた空間は、音が反響しやすく、誰かに話しかけられたように感じることがあります。
そうした「錯覚」を通して、「今の声は覚かも!」という伝説が作られていったのかもしれません。
つまり、覚は「人が不安になるような場所」に出やすい妖怪とも言えます。
暗くて静かな山の中や、誰もいない道でドキドキした時、心を読まれる感覚があったら、それはまさに「覚の気配」かもしれませんよ!
覚(さとり)が教えてくれること

ある日の物語
深い山の中、木々が風にゆらめく音だけが響く。そこには人の姿はなく、ただ静けさだけが広がっている。
しかし、その奥にある洞窟の中には、ひっそりと住む妖怪がいた。そう、「覚(さとり)」だ。
その日、覚はいつものように洞窟の中でぼんやりと過ごしていた。
心の声を聞きながら、「今日も誰か来ないかな~」と楽しみにしていた。そ
んなとき、一人の少年が山道を歩いてきた。彼の名前はタケル。学校の自由研究で「山の中の伝説」を調べにきたのだ。
タケルは地図を片手に、あまり人気のないルートを歩いていた。
「この辺に、昔から変な声が聞こえるって話があるらしいな……」とつぶやいた瞬間、洞窟の奥でクスッという声がした。
「へぇ、面白い子が来たなあ」
タケルはびっくりして立ち止まった。「今の、誰の声!?」
「君の心の声、ぜーんぶ聞こえてるよ~」と、どこからか声がする。驚いたタケルは辺りを見回すが、誰もいない。でも、また声が聞こえる。
「『誰かいるの?』って、思ってるでしょ?」
「うわっ、本当に心が読まれてる!?」
タケルは心臓がドキドキしてきた。でも、そのまま逃げるのも悔しい。勇気をふりしぼって、声のする方へ進んでいった。
すると、洞窟の奥に、小さなサルのような生き物がいた。けれど、普通のサルではない。胸にもうひとつ目がついていたのだ!
「ぼ、ぼくは……自由研究で……」
「うんうん、『怖いけど気になるから近づこう』って思ってるんでしょ?」
「くっ……なんで全部わかるんだよ!」
覚はにやりと笑った。「だって、君の心はまる見えだもの。でも大丈夫、君は面白いから、ちょっとお話しようか」
こうして、タケルと覚の奇妙な会話が始まった。
タケルは最初こそビクビクしていたが、話すうちにだんだん慣れてきて、「心を読まれても、別にどうってことないや」と思うようになった。
「へぇ、そんなふうに思える子、久しぶりだな。じゃあ今日は、特別に洞窟の奥まで案内してあげるよ」
覚はタケルを連れて、普段は誰も入れない神秘的な場所まで案内してくれた。そこには、美しい光が差し込む空間が広がっていた。
「ここはね、人の心が静かだと光る場所なんだ。君の心が落ち着いてるから、こんなにきれいなんだよ」
タケルは感動して、思わず笑顔になった。「覚って、思ってたよりずっと優しいんだね」
覚は目を細めて言った。「そうかな。まぁ、驚かせるのも好きだけどね」
そしてその日から、タケルは覚の存在を「怖い妖怪」ではなく、「ちょっと不思議な友だち」として心に刻むことになった。
伝えたかったこと
心を読まれる怖さは、自分の内側の不安
「覚(さとり)」という妖怪は、ただの不思議な存在ではありません。
人の心を読まれるということは、自分の中にある不安や秘密がバレてしまうということ。
それはとても怖いことです。
覚は、そんな人間の「心の弱さ」をあらわした妖怪だと考えられます。
現代でも、SNSで誰かの投稿を見てドキッとしたり、家や学校で本音を言えずにモヤモヤしたりすることがあります。
そんなとき、心を見せるのが怖いと思うことは、人間としてとても自然なこと。
でも、それを理解してくれる誰かがそばにいれば、心は少し軽くなります。
山や洞窟=自然への畏れと戒め
覚が登場する場所は、山や洞窟の中が多いです。
これらの場所は、昔の人にとって「神聖であり、危険な空間」でした。知らないうちに足を踏み入れ、迷子になったりケガをすることもある。
そんなときに必要なのは「油断しないこと」。
覚は、自然の中での注意をうながす存在でもあったのです。
覚は人間の心を映す「鏡」
覚という妖怪は、不安、恐れ、優しさ、強さ……人間の心の奥にあるいろんな感情を映し出す「鏡」のような存在です。
だからこそ、ただの怖い妖怪ではなく、今の時代にも通じる大切なメッセージを持った存在だといえるのです。
まとめ:覚(さとり)の正体 妖怪ウォッチのさとりちゃんとのギャップがすごい
- 覚(さとり)は人の心を読む妖怪。
- 山や洞窟などに住み、人気のない場所に出現する。
- サルのような姿で、胸にもうひとつの「目」があるという。
- 人間を襲うことは少なく、心を読むことで驚かせるのが好き。
- 心を読まれることに慣れると、怖くなくなるという。
- 江戸時代の妖怪図鑑にも登場していた。
- 「覚」は自然の中で感じる不安を象徴している存在。
- 出現地は鳥取や島根など中国地方の山間部が有名。
- 人間の心の弱さや油断への戒めとして生まれた存在。
- 現代でも「心を見せる怖さ」に通じるメッセージがある。
おわりに
「覚(さとり)」という妖怪について、じっくりと見てきました。
最初はちょっと怖くて、心を読まれるなんてイヤだなぁと思うかもしれません。
でも、よく知っていくと、覚はとてもユニークで、少し人間に似たところもある存在です。
驚かせることはあっても、根っからの悪者ではなく、むしろ人間の心の動きを楽しんでいるような、そんな不思議な妖怪でした。
記事の中では、覚の特徴や伝説のある場所、さらには物語も紹介しました。
そして、昔の人たちがなぜこの妖怪を語り継いできたのかを考えることで、現代にも通じる「心との向き合い方」を見つけられたと思います。
人間の心は、とても繊細で時には自分でもよくわからなくなるものです。
そんなとき、覚のように「自分の心を見つめてみる」ことが大切なのかもしれません。
怖がらずに、自分の気持ちとちゃんと向き合えば、どんな不安や悩みも少しずつ軽くなる。
そんなことを、覚は私たちに教えてくれているのではないでしょうか。