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【妖怪】雪女が伝えたいことは心の「冷たさと温かさ」美しい女性の葛藤がすごい

山林

「雪女(ゆきおんな)」と聞いて、どんな姿を思い浮かべますか? 

小説、昔話、漫画、アニメなどなどあらゆるメディアに登場する人気の美女妖怪。

 

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白い肌に黒髪

雪の中でスッと立っている美しい女性

――そんなイメージを持つ人も多いはず。

でも実は、この美しさには秘密があります。雪女は、ただの雪の精ではありません。

時には人の命を奪い、時には静かに消えていく、不思議でちょっと怖い存在だと知っていましたか?す。

 

この記事では、「雪女」の特徴や伝説、どこに現れるのか、そしてある日を描いた物語まで、たっぷり紹介します。

雪女はどんな妖怪で、なぜ昔の人たちがこんな存在を語りついできたのか――。

それが分かれば、あなたも今日から雪の日の見方が変わるかもしれませんよ。

妖怪 雪女(ゆきおんな)とは

特徴

  • まっ白な肌に、まっ黒な長い髪。とても美しい姿をしている
  • 雪がふる寒い夜にあらわれることが多い
  • 息をふきかけるだけで、人を氷のようにしてしまう
  • ときには恋をして、人間のふりをしてくらすこともある
  • 足あとが雪の上にのこらないというふしぎな力を持っている
  • 子どもや年寄りなど、よわい人をねらうことがある

プロフィール

項目内容
名前雪女(ゆきおんな)
種類妖怪・雪の精霊
出現場所雪のふる山や村、山小屋など
性別女性の姿であらわれることが多い
特徴美しいが、冷たくてこわい
能力息で凍らせる、人間に化ける
好きなもの雪、寒さ、人間のぬくもり(時に)
苦手なもの日ざし、愛に目覚めること

雪女について詳しく

雪の夜にあらわれる、美しき死の使い

雪女が登場するのは、たいてい寒い冬の夜です。

とくに、深い山の中や、吹雪の日など、まわりがまっ白になって何も見えなくなるようなときにあらわれると言われています。

 

そんなとき、白い着物を着た美しい女の人が、スッと目の前に立っている……。それが雪女。

その姿はとても美しく、見る人の心を引きつけます。でも、近づきすぎると危険。

雪女は息をふきかけるだけで、人間をこおりづけにしてしまうのです。

人間の心を持つ雪女

ただし、雪女がいつも人をこおらすわけではありません。

昔話の中には、ある木こりの男を気に入って助けてあげたり、その後、人間のふりをして結婚し、子どもを育てる話もあります。

 

この話では、男が雪女である正体を言わない約束をします。

でも、ある日うっかりそれを口にしてしまい、雪女は「約束をやぶったから、もういられない」と言って去ってしまうのです。

雪女にも心があり、愛することもできる――そんな一面もあるのです。

足あとがない? 雪女のふしぎな力

雪女には、人間にはないふしぎな力がいくつもあります。

たとえば、雪の上を歩いても足あとが残らない。これが雪女だと見分けるヒントになることもあります。

 

また、山小屋などで一晩あたたまっているうちに、ふいに姿を消してしまうことも。

朝になると、そこに雪がふりこんでいたり、氷が残っていたりします。

子どもをさらうという話も

地域によっては、雪女が子どもをさらっていくという話もあります。

これは、子どもがひとりで外に出てしまわないように、気をつけなさいというおどしだったのかもしれません。寒い日は、とても危ないですからね。

なぜ雪女は語りつがれてきたのか?

昔の人にとって、冬の山や雪の日はとてもこわいものでした。

寒さや雪で命を落とすことも多かったからです。

 

そんな中で、「雪の日に外に出ると、雪女に会ってしまうぞ」という話は、ある意味で生きるための教えだったのかもしれません。

雪女の豆知識

  • 雪女の話は日本全国にあるけど、地方によってすがたや性格がちがう
  • 秋田では「雪ん子」ともよばれ、もっとやさしい妖怪として語られることも
  • 雪女がふりまいた雪は、とても冷たくてふつうの雪とちがうと信じられていた
  • 伝説によっては、月の光をあびると本当のすがたが見えるとも言われている
  • 江戸時代には、雪女のこわい話が読み物や浮世絵になって人気をあつめていた

出現する場所

雪女は、雪がたくさん降る寒い地方に多く伝えられています。

とくに有名なのが、東北地方や新潟、長野などの雪国です。

深い山の中で木を切る木こりたちの間で、雪女の話はとてもよく語られていました。

 

また、山小屋や峠道など、人が冬に行きたがらない場所に現れることもあります。

夜のふぶきの中、迷ってしまった人の前に、白い着物の女が立っていた……なんて話が多いです。

村の古老(お年寄り)たちは「雪の夜は外に出るな」と言って、子どもたちを家の中に引きとめていたそうです。

つまり、雪女の伝説は「冬の自然のこわさ」を伝えるための、昔の人の知恵でもあったんですね。

雪女が教えてくれること

ある日の物語

山の奥深く、雪がしんしんと降りつもるある夜のこと。一人の若者が、村から離れた山小屋へと向かっていました。

名前は信也(しんや)。薪をとりに来たのです。でも、ふぶきがひどくなり、あたりはまっ白で何も見えなくなってしまいました。

「これはまずい……」
と、小屋に入った信也は、あたたかい火をたき、凍えた体をあたためました。

すると……カタッ。誰かが戸をたたく音がしました。

「こんな雪の中に人が?」

不思議に思いながら戸を開けると、そこには白い着物を着た美しい女性が立っていました。黒髪が風になびき、まるで雪の中からぬけ出たような姿。

「こごえてしまいそうで……すこし、あたたまらせてください」

女性はそう言って、小屋の中に入ってきました。名前は「ゆき」と名のりました。

信也とゆきは火を囲んで話しました。ゆきの目はとても深く、さみしげで、どこか人間ではないような雰囲気がありました。

けれども、話しているうちに信也はその魅力に引きこまれていきました。

しばらくして、ゆきはふと立ち上がり、こう言いました。

「わたしは、ほんとうはこの世の者ではありません。雪女なのです」
信也はおどろきましたが、ゆきは続けました。

「でも、あなたが優しくしてくれたから、命はとりません。ただし、今日のことを誰にも話してはいけません。話せば、わたしはもういなくなってしまうのです」

信也はうなずきました。

そして、それから数年、村に帰った彼のもとに、ゆきという名の女性が嫁いできました。ふたりは幸せに暮らし、子どもも授かりました。

でもある日、信也はうっかりこう言ってしまったのです。
「おまえ、雪の日のあの時の雪女にそっくりだなあ」

その瞬間、ゆきの目がかがやきました。
「やっぱり……話してしまったのね」
そう言うと、彼女の体はふわりと白く光り、雪のようにとけて、空にきえていきました。

――それから、信也は二度と、雪の日に笑うことができなかったそうです。

伝えたかったこと

冬の自然への恐れと教え

昔の人にとって冬の自然はとてもきびしく、命をうばうこともある存在でした。

雪女という妖怪は、その恐ろしさをわかりやすく伝えるために生まれたのだと思います。

 

「雪の日に山へ行ってはいけない」「知らない人について行ってはいけない」。

それらの注意を、子どもたちに楽しく、でもちょっとこわく伝えるために、雪女の話が語りつがれてきたのです。

愛と約束の大切さ

雪女の伝説には、「約束をやぶったら、大切な人がいなくなる」というテーマもあります。

昔の人は、約束や信頼をとても大切にしていました。だからこそ、雪女との誓いを破った男が、そのせいで愛する人を失ってしまう話は、人々の心に深く残ったのでしょう。

 

これは、今の時代にも通じることです。

どれだけ時代が変わっても、「人を思いやる気持ち」「信じあうこと」「命の大切さ」は変わりません。

雪女という存在は、そうした大切な心を、今の私たちにも教えてくれているのです。

人間の心のあたたかさと冷たさ

雪女は、とても冷たくて、でも時にあたたかい心を見せる存在です。

この「冷たさ」と「あたたかさ」は、人間の心そのものをあらわしているのかもしれません。

だれでも、やさしくなれる日もあれば、つめたくなってしまう日もあります。

 

でも、雪女のように、ほんとうはだれかを愛していた……

そんなふうに思うと、ふだんの人とのかかわり方も少し変わってくるかもしれませんね。

まとめ:雪女が伝えたいことは心の「冷たさと温かさ」美しい女性の葛藤がすごい

  • 雪女は雪の日にあらわれる、美しい女性のすがたをした妖怪。
  • 息をふきかけて人を凍らせる、こわい力をもっている。
  • ときには人間に恋をして、家族としてくらすこともある。
  • 足あとが雪の上にのこらないという、ふしぎな力がある。
  • 出現するのは、雪の多い山や東北・新潟・長野などの雪国。
  • 子どもをさらうという話は、昔の人の注意のしるしでもあった。
  • 雪女には地方ごとにちがった性格や呼び方がある。
  • 雪女の物語には、「約束」や「愛」のテーマがよく出てくる。
  • 冬の自然のこわさを伝えるための教えとして語りつがれてきた。
  • 今の時代にも通じる、人の心のあたたかさと冷たさを伝えている。

おわりに

雪女は、ただこわいだけの妖怪ではありません。

美しくてふしぎで、どこか人間らしい心を持った存在です。

ときには人をこおらせるほど冷たく、ときには家族を守るほどあたたかい――

そんな雪女の物語は、昔の人の知恵や思いがたくさんつまっています。

 

この記事では、雪女の特徴や伝説、出現場所やストーリーを通して、妖怪の世界の奥深さを紹介しました。

そして、雪女の存在が、冬のこわさや人との関わり方、信じる心の大切さを教えてくれることにもふれました。

もし雪の日に、ふと白い人影が見えたら……

それはもしかしたら、雪女かもしれません。

そんなふうに思うだけで、ふだんの雪の日もちょっとドキドキして見えてきますね。